今ではアプリケーション開発にはあまり使われなくなったC言語ですが、IoTなどの組み込み開発や、昔からあるシステムの保守ではまだ現役です。ややニッチな分野ですが、C言語のWindows開発環境について紹介したいと思います。
ちなみに、C言語で開発をしたい特別な理由がなければ、C++言語での開発をお勧めします。C++はCの上位互換の言語ですので、クラスなどを使わずにCっぽく書いても、C++の恩恵を受けることが出来ます。
C++の場合も、ここで説明する開発環境で開発ができます。(むしろC++の方が適している開発環境です)
無料で使えるC言語開発環境の一覧
C言語の開発環境はマイナーなものも含めると実は沢山ありますが、ここでは初学者を読者と想定して、比較的メジャーな開発環境を紹介します。
ツール | 特徴 |
Visual Studio Community | WindowsでのC言語系開発環境としては、最もメジャーなものです。 無料とは思えないほど高機能で本格的なアプリケーション開発にも耐えるものであるため、Windows上でのアプリケーション開発をする方にとっては非常に有力な選択肢となります。 ただし、Microsoftの独自仕様が強く入っているため、最終的にLinuxや組み込み環境での開発を目指す方は避けた方が良いでしょう。 また、Visual StudioはC++に最適化していますので、C言語標準に厳密に準拠しているわけではありません。この点も覚えておいた方が良いでしょう。 |
Eclipse C/C++(MinGW) | Javaの開発環境として有名なEclipseと、MinGWというオープンソースのコンパイラを合わせた環境です。MinGWはLinuxを始め様々な環境で使用されているgccというメジャーなコンパイラのWindows移植版なので、最終的にLinuxでの開発を目指す方は有力な選択肢となります。 |
C++Builder Community Edition | Visual Studioと同じく歴史ある開発環境ですが、Visual Studioに比べると情報も少ないため、初学者にはオススメしません。Delphiの開発環境と同じブランドですので、Cは初めてだけどDelphiは使ったことある!という人に限ってはオススメです。 |
どの開発環境を選べば良いの?
Visual Studio Community が良い場合
- Windowsで動かすアプリケーションを作って配布したい場合
- コンソールアプリではなく、GUIアプリを作りたい場合
- WindowsAPIを使って、Windowsの機能を活用したアプリを作りたい場合
Eclipse C/C++ (MinGW) が良い場合
- よりC言語標準に準拠した環境で開発したい場合
- Linuxなどのgccが動く環境に移植するアプリを作りたい場合
Visual Studio Community
インストール
Visual Studio Community はマイクロソフトのサイト( https://visualstudio.microsoft.com/ja/downloads/ )からダウンロードできます。
なお、個人は無料で利用可能ですが、組織での利用はオープンソースソフトウェアの開発など限定的な用途でのみ許されていますので、ダウンロード前に利用規約を確認してください。
インストール方法は基本的にはそのままインストーラーの案内に従っていけば大丈夫です。途中、必要なワークロード(機能セット)を選択する場面がありますので、「C++ によるデスクトップ開発」を選択します。
他にも興味のある機能セットがあれば、一緒に入れても構いません。
Cプロジェクトの作成方法
VisualStudioでは、Cプロジェクトの作成というメニューはありません。C++プロジェクトとして作成することになります。ここでは、コンソールアプリケーションを作成する手順を紹介します。
まずはVisualStudioを起動して、新しいプロジェクトの作成を選択します。(サンプルの画像はVisualStudio2019のものです)
次に「空のプロジェクト」を選択します。
次にプロジェクト名を入力して「作成」。プロジェクトの作成場所は適時変更してください。
すると空のプロジェクトが作成されますので、Cソースファイルを作成します。
ウィンドウ右のソリューションエクスプローラーから「ソースファイル」を右クリックし、「追加」から「新しい項目」を選択します。
開いたダイアログでCソースファイルを作成したいところですが、選択肢がC++関連しかありません。画面上部ではC++ファイルを選択し、「名前」欄にCソースファイル名を指定しましょう。この時に拡張子を「.c」としておけばC言語のソースファイルとして認識されます。
これでCソースファイルが作成されるので、コードを書きましょう。見慣れたHello Worldを書いて、「ローカル Windows デバッガー」ボタンを押せばビルド&実行されます。
Eclipse C/C++(MinGW)
インストール
Eclipse本体に加えて必要なソフトウェアをひとまとめにしたAllInOneパッケージがオススメです。
MergeDocProject(https://mergedoc.osdn.jp/)から「Pleiades All in One」の最新版をクリックし、C/C++のFull Editionをダウンロードしてください。
Eclipseはダウンロードしたファイルを任意の場所に解凍すればインストールは完了です。
アンインストールは解凍したファイルをフォルダごと削除するだけです。
なお、解凍する場合、Lhaplusなど圧縮・解凍ツールによっては一部のファイルが欠落してしまい、うまく解凍できない場合があります。
Windowsの標準機能で、zipファイル右クリックから「全て展開」で解凍してください。
解凍したフォルダーの[eclipse] → [eclipse.exe]をダブルクリックすればEclipseが起動します。
Cプロジェクトの作成方法
Eclipseを起動すると、ワークスペースの選択画面が出てきます。ワークスペースは複数のプロジェクトをまとめて管理する作業場所のことで、開発環境の設定は主にワークスペース単位に持ちます。
VisualStudioで言うと、ソリューションに近いものです。
デフォルトで「../workspace」となっており、そのまま使うとeclipse.exeの一つ上のフォルダに「workspace」フォルダが作成されます。
ワークスペースは任意の場所に作成できますので、好きな場所に変更しても大丈夫です。
Eclipseが起動したところです。まだプロジェクトは1つもありません。
メニューの[ファイル] → [新規] → [C/C++プロジェクト]を選択して、プロジェクトを作成します。
プロジェクトの作成画面です。C管理ビルドを選択して次へ。
プロジェクト名を入力し、プロジェクト・タイプは「空のプロジェクト」を選択して完了。
これでプロジェクトが作成されました。
まだソースファイルがないので、プロジェクト(赤枠)を右クリックして[新規] → [ソース・ファイル]を選択。
ソースファイル名を入力して完了。ソースファイルを作成します。
作成したソースファイルにプログラムを書いて実行します。
①プログラムを書いて保存(Ctrl+s)
②プロジェクトを右クリックして[実行] → [ローカル C/C++ アプリケーション]を選択
③プログラムの実行結果が「コンソール」ビューに表示されます
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